バンドジャーナル9月号記事

ドラマーのドラマーによるドラマーの為の教則本!

=スネア・ドラムで打楽器の基礎をマスターすべし=

<スネア・ドラムのためのベーシック・リズム・メソッド>はまずドラムの基礎を学ぶことをテーマに著されている。そしてページが進むに連れてレベルアップしていくのだが、経験者が更なるレベルアップを目指すにも最適な一冊だろう。クラシック・吹奏楽はもとより、マーチング、ポップスでのドラムセット、そこからジャズやロックなどのコンテンポラリーなジャンルのドラマーにオールラウンドに対応している貴重な著書だ。

そして著者の大久保氏がこの本を著すきっかけとなった動機が書いてあるのだが、「私自身は高校時代にロック・ドラムと吹奏楽を始め、大学生になってから本格的にスネア・ドラムを始めました。しかし、当時は、スネア・ドラムを学ぶ為の教則本があまりありませんでした。本書は、これから様々な音楽分野で打楽器(ドラムス・パーカッション)を始めようと思っている方、現在勉強中で更にスネア・ドラムを学びたい方、そして経験者(上級者)にはウォーミング・アップ用として活用いただけます(中略)ベーシックなリズムを学ぶと言うことは、様々な楽器を演奏する中で本当に大切なことだと感じています。(後略)」

この本では、まずスネア・ドラムの基本テクニックを写真、チャート(図)、付属CDでの参考音源といった具合に様々な角度から学習できる。そして様々な拍子、ボレロ、マーチング・スタイル、変拍子、スロー・テンポ等、最後に前項をふんだんに盛り込んだ練習曲と、応用・レベル・アップしていくのだ。

=独創的かつ実用的なMusic Progression Phrases…とは?=

ドラマー・パーカッショニストとしての完成度を更に高めるための、続刊<パーカッション&ドラムスのためのリズム・パターン集>では、スネアドラムから始まり、ドラムセット、パーカッションと様々な楽器での練習パターンが集約されていて、無機質な機械的ではなく、理論的・数学的、そしてなによりも音楽的に分析・研究されたパターンが完膚なきまでに網羅されている。またこのパターン数が半端でないのだ!

また<左右の手を独立させる練習>では数学的に分析されたパターンを譜面上での例として説明してくれている。もちろん付属CDによる参考音源付き。

そしてこの教本で特に特色的な部分が、後半の<Music Progression Phrases(音楽数列フレーズ)>だ。パーカッションやドラムの音列パターン(わざとこう書くが)は一般的に「リズム」と呼ばれている。特にクラシック、吹奏楽では…。しかし彼はこれを「フレーズ」と言っている。しかも、バルトークが楽曲に使用していた理論、「フィボナッチ数列」等を応用し、打楽器の観点からもハーモニーや小説単位で音楽(フレーズ)を考え出しているのだ。

ドラムセットでのフィル・インで使えるようなパターンを連符を使った数学的チャートで分かりやすく(むしろ詳しくと言うべきか)目で理解できるようになっていて、今までCDやコンサートで聞いて、「かっこいいけれど真似できない!」と思っていたリズムに手が届くのでは?この練習で独創性に富んだフィル・インやマーチングでのソロ・フレーズを確実に手に入れることが出来るだろう。

ただし、大久保氏同様たゆまぬ努力が必要なのは言うまでも無いのだが…だが「ローマは一日にしてならず」だが「すべての道はローマにつながっている」のだ!

●著者プロフィール

大久保 宙(ヒロシ)

1975年東京生まれ。米国Anna Maria College入学後、Hartt School of Music at Univ. of Hartford大学院卒業。その後世界各地でコンサート・クリニック活動を行っているパーカッショニスト。また、プロフェッショナルMIBURI奏者として世界規模で活動する唯一のアーティスト。彼は演奏家としての活動だけにとどまらず、音楽音楽プロデュース、音楽療法、子どものリズム教育、講演会などの仕事も行っている。現在、日本国内で数少ないソロコンサートを行えるパーカショニストとして、ハンド・パーカッション&電子パーカッション、ドラムスをメインに活動を行い高い評価を得ている。

●リサイタル情報

Hiroshi Chu Okubo
Solo Percusion & Drums Live "Bumba"
2003年9月20日土曜日
6時20分開場/6時50分開演
グリーンホール相模大野 多目的ホール
(相模原市相模大野4-4-1 TEL042-749-2200 小田急線相模大野駅下車徒歩3分)
チケット:4200円


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